どうにもならないこと
嫌なこと、恥ずかしいこと、悲しいこと、全部一度に起きて、どうすればいいのかわからない。
その中で一番悲しかったこと。
9月17日、アルフレッド・リード博士が亡くなった。
日本で活動されていたなんて、ちっとも知らなかった。
アルメニアン・ダンス、春の猟犬、エル・カミーノ・レアル、みんな覚えてる。
うちの部ではメジャーな曲はやらなかったけれど、
県、東関東に行けば必ず2、3曲はリード氏の曲だった。
中二のとき、一人で県民ホールまで行った日を思い出す。
県大会、あと一点で金賞を取れなくて、さんざん泣いて、
でもあと一年を残されたからには、その年の他の学校の音からたくさんのことを学ばなければならなくて、
私も落ち込んでいたけれどみんなも落ち込んでいたので、暑い日に、一人で東関東を聴きに行ったのだった。
チケットが朝の六時の時点で完売してて、入り口でへたり込んでいたら、どこかの保護者の方が
自分の子の演奏は早く終わるから、と言って午後からチケットを譲ってくれた。
ボロボロ泣きながら聴いた中に、『春の猟犬』はあった。
一分の隙もなく演奏された『アルメニアン・ダンス』を聴いたこともある。
リード博士のご冥福を、心よりお祈り申し上げます。
あのころの大事なものが、こうして少しずつなくなっていってしまう。
悲しい。
どうすればいいのかわからない。
どうにもできない。
受験が終わったら、本当にやってみようか。
駅前、とまではいかなくても、その近くで。演奏。
展望台と広場のついた森を抜けると駅があるので。その広場で。
家でできないときはよくそこで練習してたけれど、今度は練習じゃなく、演奏で。
人に聴かせる曲で。
音をつくることをやめたら、やっぱり私は駄目になりそうだよ。